カップルの「別れさせ」は離縁ではなく復縁がゴール

両者が結婚関係になかったとしても、別れさせ屋の工作対象となる事例は存在します。依頼者自身の付き合っている恋人との離縁はもちろん、浮気している相手の関係を離縁させたいと言った依頼もあります。また、子どもの恋愛関係が親から見て看過できるものではなく(例えば、娘に対して非常に暴力的な態度で接してくる男など)、そのために子供の交際関係に介入してほしい、と言った依頼も存在します。

カップルの関係だから、別れさせ工作は離婚がらみの依頼に比べると簡単かと言うと、そういうわけでもありません。このような間柄の場合、同棲していたり片方が結婚を意識していたりと、むしろ愛情がより深い場合もあるくらいです。離婚を目的とした依頼と違って、まだ相手への熱が冷めていませんから、その分工作にも相応のものを求めるようになるわけです。

例えば、同棲相手が浮気しているから別れさせ工作をしてほしい、という依頼があった場合、依頼者の希望には少なからず浮気相手との「離縁」だけでなく、自分との「復縁」が含まれているわけです。これが結婚した夫婦であれば、むしろ離婚という結果を求めるかもしれませんが、この場合はそうではありません。相手のことが好きであるがゆえに依頼をしてきているわけですから、依頼する場合、工作の結末がそこに至らないと意味がないわけです。

離縁した結果として、依頼者と恋人が離れ離れになったりしてしまっては困るわけで、ある意味夫婦関係よりも繊細な工作が必要とされます。ですから、離婚工作でよくある、「工作員がターゲットの異性と親密になるように働きかける」と言った工作では効果がありません。

相手が工作員のことを好きになってしまっても困るわけですから、それとは違ったアプローチが必要となります。水面下で、互いの間を取り持つような動き方をして、最終的には、依頼者のことを以前よりも好きになるように働きかける必要があるわけです。愛し合う関係をまだ続けていたいという希望が残っている分、関係の構築まで視野に入れた工作にはそれ独特の大変さがあると言えるでしょう。