道徳的にどうなの?
別れさせ屋という職業は単独で存在するというよりは探偵業や調査業を生業とする人たちがその仕事の一環としていることが多いようです。では、この職業って法律に違反しないのでしょうか。というのも、業者は故意に浮気を工作します。例えば、AさんとBさんが婚姻関係にあるとします。しかし、その婚姻関係はすでに危機を迎えています。Aさんはすぐに離婚をしたいとおもっていてもBさんが同意しない場合、協議離婚は難しくなります。そうなると、調停や裁判という形に持っていくしかありませんが、時間もかかりますし、費用もかかります。そこでBさんに工作員が近づき、Bさんに好意があるように見せかけて浮気をするように仕向けます。写真などの何らかの証拠を残し、それを依頼者であるAさんに渡し、Aさんは有利に離婚をすすめることができるというシナリオです。これが道徳的に決して勧められる行為でないことは誰の目にも明らかですが、果たして法律的にも違反行為なのでしょうか。
関係性を見極める
実はこの2人の関係が婚姻関係であれば、民法90条の公序良俗に反するとして無効になる可能性が高いと言えます。なぜなら、夫婦はお互いに貞操義務がありますが、依頼者が別れさせ屋を雇い、故意に不倫させようとする行為はその義務を侵害する行為と評価される可能性は十分にあります。しかし、これが結婚していない単なる交際であれば、お互いの貞操義務はまだ明確にあるとまでは言えないことから、仮に業者に依頼して、不倫工作をしたとしても無効とまではいえないでしょう。また、業者が使うさまざまな工作方法にもよるでしょう。結論的には別れさせ屋が違法とまでは言い切れませんが、その工作する手段や方法、目的などを総合的に判断し、その違法性を分析するということになるのです。もし、業者の手段が違法であれば、その業者に指示を出した依頼主の違法性も問われ、相手から損害賠償などを請求されることもあることから、依頼するにしても注意が必要でしょう。